生前贈与における不動産の名義変更手続きの期限
贈与による名義変更の登記について、期限が設けられているわけではありませんが、速やかに名義変更の登記を行うべきでしょう。登記上本来の名義人である贈与を受けた人に変更しておかないと、前述のような対抗要件(第三者に自分が所有者であることを主張できない)や、固定資産税の負担の問題などが発生します。
生前贈与における不動産の名義変更にかかる費用
贈与による名義変更の登記にかかる登録免許税は、固定資産評価証明書の評価額の2%です。
そのほかに、贈与による不動産の名義変更については、贈与契約書を作成するための印紙代(200円)や、司法書士に登記を依頼すれば、その報酬もかかります。
生前贈与における不動産の名義変更にかかる税金
不動産の贈与を受けた場合は、贈与を受けた人に対して贈与税がかかります。ただし、贈与を受けた不動産の評価額(家屋であれば固定資産税評価額、土地であれば路線価をベースに計算した評価額)が110万円以下(贈与を受けた年に不動産以外の贈与を受けている場合は、その贈与を受けたものの価額も合算した額が110万円以下)であれば、贈与税はかかりません。この110万円のことを基礎控除と言います。
このほか、婚姻期間が20年を過ぎた夫妻間で、住んでいた家やその土地を贈与した場合は、上記の110万円の基礎控除のほかに、最高2,000万円の配偶者控除を受けることができます。配偶者控除は住んでいた不動産が対象なので、別荘や投資用不動産などの贈与は対象外となります。
贈与税には、その年で納税を終わらせる「暦年課税」と、贈与をした人について相続が発生するまで一部の課税を繰り延べる「相続時精算課税」の2種類があります。
ただし相続時精算課税を選択するには、贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母から受けた贈与であるなどの一定の条件があります。暦年課税と相続時精算課税のどちらのパターンを選択するかで、贈与税の納税額が大きく変わる場合があります。どちらのパターンを選択すべきか判断できない場合は、税理士に相談するほうがよいでしょう。
また、不動産取得税も課税されます。これは各自治体の計算のもと課税されますので、贈与税のような申告は必要ありません。