農地の所有権を移転するには、一般的な不動産の売買や贈与とは異なり、農地法に基づく手続きが必要です。主な流れは以下のとおりです。
1. 農地法の許可を取得
農地の売買や贈与を行う場合、農地法の規定に従った許可が必要になります。手続きは、農地の用途や買主の条件によって異なります。
農地法第3条許可(農地を農地のまま売買・贈与する場合)
- 買主(取得者)は農業従事者(または農業法人)であることが条件
- 地元の「農業委員会」の許可が必要
農地法第4条許可(農地を宅地などに転用して売買する場合)
- 所有者自身が農地を宅地などに変更する場合
- 「都道府県知事」の許可が必要(市街化区域では届出)
農地法第5条許可(農地を転用目的で第三者へ売買する場合)
- 農地を宅地や商業用地として売却する場合
- 「都道府県知事」の許可が必要(市街化区域では届出)
2. 売買契約の締結
農地法の許可が下りたら、売買契約を締結し、所有権移転の条件を定めます。
3. 所有権移転登記
許可を得た後、法務局で所有権移転登記を行います。必要な書類は以下のとおりです。
- 農地法の許可書(または届出受理通知書)
- 売買契約書(または贈与契約書)
- 登記申請書
- 固定資産評価証明書
- 印鑑証明書
- 登記識別情報(権利証)
4. 農業委員会への届出
所有権が移転した後、新しい所有者の情報を農業委員会に届け出る必要があります。
注意点
- 農地の買主が「農業を行わない個人・法人」の場合、売買は原則認められません。
- 転用許可を受ける場合、事前に自治体の開発許可が必要な場合があります。
- 市街化区域内の農地は「届出」で済むことが多いですが、それ以外の地域では厳しい規制があります。
手続きをスムーズに進めるには、地元の農業委員会や司法書士に相談するのがおすすめです。具体的な状況に応じて適切な手続きを選びましょう。